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2020年11月一般質問


自民党・無所属の山田ひろこです。区長、教育長に質問いたします。


まずは、新型コロナウィルス感染症の拡大防止・収束に向けてウィルスに立ち向かい、強い使命感を持って医療に従事しておられる皆さま、そしてエッセンシャルワーカーの民様に心から感謝申し上げます。


新型コロナウィルスの感染が日本で初めて発症してからまもなく一年になろうとしています。新型コロナウィルスのパンデミックは、社会・経済構造の変化をもたらしました。区では「文の京」総合戦略において全ての分野における基本的な理念や目標を掲げ、それに基づいて政策、事業を取りまとめ行政運営を行っておりますが、

このコロナ禍において財源の見通しも厳しくなり、計画に位置付ける事業の優先順位をより明確化することが必要となりました。一方、新型コロナウィルスへの対応という面においての感染拡大防止と経済活動の両立は誰もが一番望むところであり、国や都の施策との効果的な連携を図るとともに、場合によっては、区が独自の施策を打ち出し、地域課題に対応していくことが大切になります。


文京区と包括連携協定を結んだ公益財団法人和敬塾について


このコロナ禍において、文京区は9月10日に目白台の旧細川侯爵邸 約7000坪の土地に構える公益財団法人和敬塾と包括連携協定を結びました。以下、和敬塾と申し上げます。和敬塾理事長の前川正雄氏のご自宅は、父親であり、和敬塾創立者でもある前川喜作氏以来、小石川にあり、文京区とのご縁を感じます。これからの自治体の目指す社会像として、地域との協定は、大変有意義であり、和敬塾の資源と区の持つネットワークとの相互の協働で、将来を担う人材の育成と、地域の豊かな暮らしを創出していくことを願うばかりです。


和敬塾は65年の伝統を誇る男子学生寮で、大学や出身、また国籍の異なる学生が約300人生活しており、「共同生活を通した人間形成」をモットーにこれまでに5000人を超える卒塾生を輩出してきました。各界の著名人も多く、作家の村上春樹氏もここに一時期生活しており、小説「ノルウェイの森」もここが舞台になったところです。ここで培った共同体力を糧に様々な分野で活躍するOBは今も塾生との連携で人間力を高めるキーマンとして塾と関わりを持ち、次代の担い手の創出、育成に貢献しております。


また、和敬塾は目白台の静寂な森を思わせる一角にあり、この前は通ったことがあっても中には入ったことがないという区民は多く、私もその一人でありました。敷地内の緑多い景観は都会とは思えないほどで、学生寮として使われているこの生活環境に憧憬の念を抱くほどです。敷地の中央には1936年に 細川護立侯爵の本邸として建設されたチューダー・ゴシック様式の旧細川侯爵邸があり、イギリスの建築様式を基調とする洋風の外観を持ちながら、内部には和室のしつらえや東洋風の凝ったインテリアも併せ持つ、バラエティに富んだ東西の様式を折衷した華族邸宅建築であります。その歴史、文化的価値の重要性から1998年に東京都より有形文化財の指定を受けております。現在は塾生の知育、徳育の場としての活用を積極的に進めながら、文化財としての保存にも努められております。緑豊かなこの7千坪の敷地にはこの本館以外に大講堂や食堂などが入る「学生ホール」と4つの寮、グラウンドなどが点在しております。都会の中心部においてこれほどの環境、資源を持った和敬塾がこの度、地域課題の解決に寄与するパートナーとして、文京区と協働する申し出をくださったわけです。


そこで、和敬塾と協定された項目の中の一部に関連し、高齢者の社会参画、地域の防災支援、子どもの社会情動的スキルについてお聞きいたします。


  1. 和敬塾との包括連携における高齢者社会参画の取組について


まずは、高齢者の社会参画についてです。コロナ禍により、一層厳しさを増す区財政の将来の見通しは高齢化、そして生産人口の減少と切り離しては考えられません。総務省によると、65歳以上の高齢者の割合は日本が28.7%で世界の中で最も高く、会社で働く高齢者は昨年度の数字で就業者全体の13.3%と過去最高になりました。

65歳以上を高齢者と分類したのは1950年代半ばの国連の報告書によるもので、現在の人口統計の区分につながっております。しかし、生活環境が改善され、医療が発達した現在において、平均寿命はその当時の男性の64歳から現在は81歳、女性の68歳から現在は88歳と共に大きく伸びました。その結果、ベビーブームで生まれた「団塊の世代」が今後数年で後期高齢の75歳に達し、後期高齢者の人口は2040年にはピークの全人口の35%と推測されています。後期高齢者になると介護需要も高まることから社会保障制度を持続可能なものにしていく改革や社会保障の支え手を増やすことも重要視されております。65歳以上をひとくくりに高齢者と区分するのでなく、「年齢フリー」の観点で社会制度や構造を変えて、社会を支える側に位置付ける必要があります。区においてはこれまでにも日常生活を支障なく送れるよう健康づくりを推進するフレイル予防を進めてまいりましたが、同時に、年齢にかかわりなく活躍できる機会を設けることが、今後より大切と考えます。


和敬塾の母体であり、現理事長の前川正雄氏も代表を務められていた産業用冷凍機メーカーの前川製作所は、国内シェアNo.1、海外でもシェアトップクラスであり、超電導、食品ロボット分野でも第一級のハイテク企業で、世界からもその技術に高い評価を得ております。また、前川製作所の製品の中には空調用の大型ヒートポンプもあり、このシビックセンターの冷暖房用装置も前川製作所製のものと聞いております。


前川製作所は独自のものづくり哲学を持っており、制度上は定年があるものの、能力と本人の意思、会社のニーズが合えば何歳までも働くことができ、組織は50代、60代、70代の経験と知恵が生きる「共同体」であり、70歳を超えた高齢社員の豊富な経験や知識が、創業以来のイノベーションに多大な貢献をしてきております。地方自治体に置き換えてみますと、豊富な経験や知識のある、そして意欲あるお年寄りの出番が増えれば、地域の活性化にもつながるということです。それは若い世代にとっても学ぶことが多く、励みにもなるということです。年を重ねるほど健康状態や経済状況の個人差はありますが、年齢に関係なく仕事に趣味にと意欲的な文京区民は沢山おります。区は実態を踏まえ適切に支援していく必要がありますが、区は今後の高齢社会における高齢者の活用、活躍をどのようにお考えになりますか。


区長答弁:

昨年度実施した高齢者等実態調査では、65歳以降も勤務を希望しているミドル・シニア世代の割合は、男女いずれも50%を超えているほか、健康づくり活動や趣味等のグループ活動への参加に対して、積極的な回答をしたミドル・シニア世代の割合は66%となっており、就業や地域での活動に高い意欲を持つ方が多いという結果が出ております。

区としては、高齢者の更なる活躍には、高齢者の就業機会の確保や、高齢者が住み慣れた地域の中で、つながりや生きがいを持つことが重要と考えており、この調査結果を踏まえ、引き続き、高齢者の活躍を後押ししてまいります。


高齢社会においても、価値観が多様化する中で、学習活動や社会活動を通じての心の豊かさや生きがいの充足の機会が求められるとともに、就業を継続したり日常生活を送ったりする上でも社会の変化に対応して絶えず新たな知識や技術を習得する機会が必要とされます。また、一人暮らしの高齢者の増加も背景に地域社会において多世代が交流することの意義が再認識されています。高齢者が就業の場や地域社会において活躍できるよう高齢期の学びを支援したり、地域活動の場での活用を図ることで、生きがいや健康維持、孤立防止等にもつなげられるよう、文京区での高齢期をいかに安心して、また、遣り甲斐を持って暮らせるか、和敬塾との協働にて、どのような取組や事業が期待できるのかを教えてください。


区長答弁:

高齢者が生きがいを持ち、健康を維持し、いつまでも住み慣れた地域で安心して暮らすためには、地域における活動など、社会参画の場や機会が重要であると考えております。

本年9月に包括連携協定を締結した和敬塾は、5千人を超えるOB組織の人脈やノウハウ等、様々な社会資源を持つことから、高齢者福祉や地域福祉の向上に資する取り組みの実施に向けて、社会福祉協議会等の関係団体とも連携し、協議を進めてまいります。



神奈川県大和市は2018年に「70歳代を高齢者と言わない都市」を宣言しました。多くのシニアが講師となり、現役時代の仕事や趣味について語る市民向け講座を開くなど、高齢者の居場所作りに力を注いでいます。本区のシニアは健康寿命も23区で上位に位置し、活力に溢れております。元気な高齢者は文京区の自慢であり、誇りであります。高齢者の社会参画という区民共通の認識を醸成することに役立つキャッチコピーを作ってみるのはいかがでしょうか、例えば、「高齢者が区のリーダー」とか「実りある高齢期を推進する区」とか「年齢に壁のない区」等のように具体的に宣言してはいかがでしょう。お考えをお聞かせください。


区長答弁:

高齢者の社会参画を推進していくためには、区や関係団体の取り組みを、分かりやすく周知していくことが必要であると考えております。

現時点で、高齢者に関するキャッチコピーを作成する予定はありませんが、引き続き、区や関係団体が実施している様々な事業の周知・啓発に努めてまいります。


また、すべての世代による支え合いが必要であることから、義務教育を含め、生涯を通じて社会保障に関する教育等を進め、若い世代を含む全世代が高齢社会を理解する力を養う必要があります。教育長のお考えをお聞かせください。


教育長答弁:

将来、少子高齢化がさらに進んだ社会を生きる子どもたちにとって、社会保障制度等を正しく理解することは非常に重要と考えております。学校教育では、小学校6年や中学校3年の社会科で社会保障制度のあり方や、高齢社会を支える年金システムなどについて学習しております。また、ふれあい給食や、総合的な学習の時間における高齢者体験などの福祉的な学習を通して、高齢社会を理解する力を育てております。


  1. 和敬塾との包括連携における地域防災対策について


新型コロナウィルスが蔓延する現在の状況下で地震や台風、豪雨などの自然災害が発生した場合、その被害だけでなく、避難先で新型コロナウィルスの集団感染が増加するなど深刻な事態を迎えてしまう恐れがあります。

新型コロナウィルス対策、もしくはそれ相当の感染症対策が十分に実施されていない避難所では集団感染の二次的被害も増加します。そのため区は避難者が避難者同士の十分なフィジカルディスタンスを確保できるよう、収容人数を減らすための分散避難となる新たな避難所の確保に努めておりますが、和敬塾に近い関口台町小学校や小日向台町小学校の一次避難所の収容人数が超えた場合の二次的な避難所として和敬塾を利用させていただくのは可能でしょうか。併せて、先日区が初めて「垂直避難場所」の協定を結びましたが、和敬塾は高台に位置しますので、台風やゲリラ豪雨などの風水害時に一時的に避難する滞在場所として提供していただくのは可能でしょうか。また、町会役員の高齢化により、避難所の運営面では身体的限界が生じる場合もあります。そこで、寮に在住する学生に緊急時のボランティアとしてその力を借たり、留学生の通訳等、災害時のマンパワーとして頼れることは可能でしょうか、お聞きします。


区長答弁:

和敬塾との包括連携協定に基づき、二次的な避難所としての利用や、避難所運営等における学生ボランティアの協力体制などについて協議を進め、地域防災力の向上に努めてまいります。

 また、近年多発する風水害への対策として、神田川沿岸における垂直避難場所を確保することが、喫緊の課題と認識しております。

引き続き、神田川沿岸地域の外水氾濫に備え、地域住民や事業者、警察署と連携し、議員のご提案も含め、更なる垂直避難場所の確保に努めてまいります。 


小日向2丁目の特養計画地に保育園や障がい者施設等の併設について


次に、私の住んでいる地域にある小日向2丁目 旧財務省関東財務局 住宅跡地についてです。敷地は南側に面した高台にあり、面積は約7000㎡、斜面地部分を除いても活用できる面積は約4500㎡あります。区は特別養護老人ホーム建設の検討を進めておりますが、余剰部分にはその他の施設整備も検討されていると聞いております。既に白山ひかり保育園で事例がありますように、保育園との併設もお考えいただきたい。待機児童の解消のために増設されてきた保育園整備も、これからは、待機児童数解消のための数字上の整備だけではなく、背景にある社会にどう保育園を機能させるかが、大切と考えます。つまり、幼児と高齢者とが近くで生活することは、幼児にとっては、お年寄りを敬う気持ちの育みに、そして高齢者にとっては、幼児を近くで感じ、元気をもらえる環境となるわけです。今後、そう出てくるものではないこの広大な敷地の施設整備には、数字上の整備ではなく、愛を感じる整備となるよう、区の見解をお聞きします。


区長答弁:

予定している特別養護老人ホーム以外の活用については、施設の特性や近隣施設等の状況も考慮しながら、総合的に検討を進めているところです。今後の施設整備にあたっては、説明会の開催等を通じて、地域住民の声を丁寧に伺いながら、愛着を感じられる施設となるよう努めてまいります。なお、議員ご指摘のとおり、区としても、高齢者施設と保育所の交流は、両施設の機能水準の高度化に寄与するものと認識しております。当該地は、近隣に保育所が複数あることから、それらの保育所に対し、整備予定の高齢者施設との交流を促すことで、相乗的に施設の効用を高める取り組みを進めてまいります。


また、時期を同じくして小日向台町小学校の改築計画が始まりましたが、このコロナ禍でその建築計画はどう影響を受けましたか、お聞きします。両施設においては、特に近隣住民の意向を十分に聞いて、地域に受け入れられるようお願いします。


教育長答弁:

本年3月に基本構想検討委員会の開催を予定しておりましたが、新型コロナウィルスの感染拡大を受け延期いたしました。今後も感染状況を見ながら準備を進めてまいります。


Society 5.0 に向けた教育改革を超えた教育変革について


次に小中学校における文京区の教育変革についてお聞きします。本年の新型コロナウィルス感染拡大で小中学校の休校が余儀なくされ、どんな時にでも学びを保障する指導体制の確立が露呈されました。これを機に国も「GIGAスクール構想」を加速させ、Society5.0に向けた人材育成のための教育変革を示しました。文京区は本年度で全ての生徒に端末の整備が完了しますが、端末は「新しい文房具」として教科をまたいで活用されねばなりません。2018年の経済協力開発機構の学習到達度調査によると、日本は学校でも家庭でも学習のためにICT端末を使う頻度がOECD加盟国37か国で最下位でありました。読解力も3年前からさらに後退したことも明らかになりました。一方、チャットとゲームでの使用は一位であり、遊びでの使用に偏っていることがわかりました。インターネット上の情報は膨大であり、我々も日常的にインターネットで情報を取りにいきますが、それらの中には、掲載された時点では正しくても今となっては古くなっているものや、間違ったものも沢山あります。しかも多くは文字情報です。それらを正確に読み取り、正しいものか、選ぶものにふさわしいものか、の判断、選別が求められます。「情報活用能力が低い」ということが「読解力の低下」に繋がっているとも言われます。 読解力は、Society5.0の時代には確実に求められます。教育長はこの調査をどう受け止めますかお聞きします。


教育長答弁:

読解力に関して日本の正答率が低かった要因は、必要な情報がどのWebサイトにあるかを推測して探し出す問題や、情報の質と信ぴょう性を評価し、自分の対応を根拠を示して説明する問題など、これまでの学校教育では比較的取り上げられることが少なかった種類の出題があったことによるものと考えております。

Society5.0の社会においては、文章や情報を正確に読み解き対話する力や、科学的に思考・吟味し活用する力などが求められます。

タブレットが1人1台配備される環境を生かしながら、情報を精査して自分の考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考える学習を行うことで、情報活用能力や読解力、思考力の向上につなげてまいります。


そして、今後、ICTやAIを授業でどのように使っていくのかはとても重要です。オンラインの活用はeラーニングのみならず、災害時にも対応できるよう「授業になるオンラインの活用」へと変わっていかねばなりません。区は来年度からハイブリッド型の授業の環境を整える計画でおりますが、どのようなものでしょうか、お聞きします。


教育長答弁:

GIGAスクール構想により児童・生徒1人に1台のタブレット端末が整備されることを踏まえ、新しい授業スタイルの一つとして、対面授業と遠隔でのオンライン授業を同時に行う「ハイブリッド授業」の環境を整えてまいります。「ハイブリッド授業」を実施することで、新型コロナウイルス感染症への不安や、病気療養等の事情により学校での対面授業を受けられない場合にあっても、学びの機会を保障することができるよう努めてまいります。


また、ICTの環境は多様な学びを実現させます。教師には端末をただ電子黒板のように利用するだけでなく、生徒一人一人が端末を持つことから、例えば数学の授業では、図形など複数の解法がある問題で生徒全員の解答をオンラインで映し出し、正解、不正解を問うのではなく、様々な解き方を全員が学べ、考えを共有できる。このような使い方を求めます。また、これまでの一斉一律授業では個々人の理解状況や能力に応じた授業を行うことはできず、そのため、授業についていけず学習意欲をなくしてしまう生徒、先に進みたいのにペースを落とさなければならず学習意欲をなくしてしまう生徒などの課題がありました。しかし、生徒全員がタブレットを持った授業は習熟度に応じて柔軟に学習を進められ、すべての生徒に学習しやすい環境を整えることになります。また、EdTechを活用し、個人の学習状況の「スタディ・ログ」を「学びのポートフォリオ」として電子化し、蓄積することで、学習計画や学習内容を提示し、より精度を高めた学習を支援し、展開することができます。Society5.0に求められる人材の育成のための、学びの在り方についてお考えをお聞かせください。


教育長答弁:

Society5.0の社会では、AIやデータを最大限に活用することで、困難な課題を解決し、新たな社会を牽引していく人材が求められます。そのため、高等教育の前段階となる小・中学校においては、生涯の学びの基礎となる力を一人ひとりに確実に付けていくことが必要となります。

1人1台のタブレット端末環境を活用することで、児童・生徒が多様な解決方法を共有し、よりよい解決方法を協働的に導き出す授業が可能となるほか、学習履歴を分析することで授業改善や個別最適化された学びが可能となります。新たな学習環境を生かし、予測困難な社会に生きる子どもたちの学ぶ力を高めてまいります。


和敬塾との包括連携における社会情動的スキルの向上について


ICTやAI の活用で認知的スキルの向上を図る一方、もう一つ大切なのは非認知的スキルになる社会情動的スキルの向上です。認知的スキルと社会情動的スキルは、互いに影響を及ぼし合いながら育ちあっていくものです。社会情動的スキルは3つの要素で定義されており、「目標の達成」、「感情のコントロール」、「他者との協働」になります。現代は共働きの家庭が増えていることから、子どもは一日の大半を園や学校、または育成室で過ごすことになりますので、日常は園、学校そして家庭での活動に限定されがちです。いかに社会、地域と関わりを持つかは大切なことです。そこでお聞きします。保育園や幼稚園、そして小中学校においてどのように地域との交流や、社会との関わりを持たせ、社会情動的スキルを育んでおりますか。


教育長答弁:

幼稚園や保育園では、「文京区版幼児教育・保育カリキュラム」に基づき、月齢や年齢に応じた、きめ細やかな対応を行っております。教員や保育士との一対一の関係性の構築から始まり、クラスで自己と他者の区別を学び、異年齢クラス等との交流や遊びをとおして、身の回りに小さな社会を築いていけるよう促しております。また、高齢者施設の訪問や、町会のお祭りへの参加、散歩などを通じて地域や人との交流に努めております。小中学校では、学校行事や総合的な学習の時間を利用して、地域資源を活用した連携事業を行っております。具体的には、地域の大人による職業講話や、芸術家による講演、体験型の授業、地元企業協力による職場体験などを実施しております。乳幼児から学齢期まで発達段階に応じたこれらの取組みを通して、達成感や満足感、疑問や葛藤を経験することで、社会情動的スキルを育んでまいります。


この度、協定を結んだ和敬塾の大学生との交流はいかがでしょうか。学校と家庭で一日の殆どを過ごす小中学生にとって、年の近い、とは言っても、目標となる、また憧れとなる年齢にふさわしい大学生との交流は、新鮮で、自分と向き合える、良い経験になると考えます。いつの時代にもどんな事態でも「生き抜く力」を兼ね備えた人間の育成に地域にある資源を利用し、取り組んでいただきたい。区のお考えをお聞かせください。


教育長答弁:

和敬塾では、大学や出身地、年齢や性格、考え方など多種多様な学生たちが共同生活を送っております。こうした学生との交流は、多様な価値観や考え方に触れ、お互いを認め合う良い経験となり、他者と協働する力や自分の感情を受け入れる力を育むことにもつながると考えております。同塾との協定を契機として、今後、交流に向けた協議を行ってまいります。


英語教育についてのこれまでの取組と課題、今後の展開について


次に英語教育についてお聞きします。私はこれまでにも、学習効果の上がる英語指導法と英語との接触量の大切さ、また、スキャモンの発育曲線から見た幼児期からの英語に親しむ必要性、外国人講師の校内常駐体制とAIの導入、ICT化、そして非認知能力を養う教育について提案してまいりました。区は『英語力向上推進事業』を重点施策におき、東京グローバルゲートウェイでの体験学習、クラウド型のeラーニングを取り入れたオンライン授業、そしてモデル校4校での外国人講師の常駐体制など取り組んでこられました。短期間でハード、ソフト両面において、これほどまで進めてくださった教育委員会には感謝しております。まずは、これらの取組の評価と課題も含めた今後の展開についてお聞きします。


教育長答弁:

これまで「英語力向上推進事業」として中学校における実用英語技能検定の受検料補助や、小中学校全校を対象としたTokyo Global Gatewayにおける体験学習に取り組んでまいりました。また今年度より、小学校4校に外国語の授業以外でも子どもたちと日常的に英語で関わる外国人指導員(ALT)を配置し、モデル校として効果検証を行っております。こうした取組を通じて、英語を学ぶ意欲を高めるとともに、日常的に英語に触れる環境を整備できたものと考えております。今後は、小学校への英語教員の加配制度なども活用しながら、小学校段階での英語力向上に努めるとともに、GTEC Juniorを活用することで小学校修了時の英語力を把握し、中学校での英語教育の更なる充実につなげてまいります。


スキャモンの発育曲線から見た幼児期からの英語の導入について


そして、更に私は幼児期からの英語の導入の必要性をスキャモンの発育曲線を示し、具体的に提案してまいりました。(ここでパネルを示す)



このパネルをご覧ください。人の成長具合をリンパ系、神経系、一般系、生殖系の4つに分類しグラフ化したものです。言語習得に関係してくる視覚、聴覚などの感覚神経はこちらの青い線になります。発育度を20歳で100とした場合、この神経系は生まれた直後から急激なカーブを描き、5~6歳で80%に

達するということがお分かりになると思います。つまり、この発達時期に合わせ、それに適した刺激を与えることで、能力が高まるということです。このピークな発達時期に英語の環境に身を置かなければ、英語を話せない国民から脱却できない、と言っても過言ではありません。事実、日本は英語を母語としない100か国の中で英語ランキングが53位と年々順位を下げています。区では、小学校低学年で歌やゲーム、リズム遊びなどを通じ英語に触れる活動として英語を必修化しましたが、五感の発達の著しいこの幼児期に行うことが、より理にかなっているのです。(ここでパネルを下げる)

この調査ランキング1位のオランダでは3歳から英語学習を始めるところが多く、英語のポップソングを歌ったり、大きな声でシャドーイングをしたり、カラフルな教材や動画コンテンツを見たり、子どもの興味を絶えず喚起する授業が組み込まれています。「オランダは小さな国だからオランダ語だけ話せたって意味ないんだ。他の国と関わっていかないと生きていけないから、英語は当たり前だよね。」と、子どもは言います。授業にするまでもなく、まずは保育園内、幼稚園内で園児が目にする表記を、英語と併記すること、そして、感覚として身につく、英語の歌やチャンツ等を毎日取りいれていくことを、一部の園だけでなく、全園にスタートするべきと考えます。幼児期からの導入について教育長の見解をお聞きします。


教育長答弁:

日常的に英語に触れる機会を確保することは、英語によるコミュニケーション能力の向上や、グローバル人材の育成につながるものと考えております。区立保育園や区立幼稚園では、日頃から遊びを通して、英語を含めた多様な文化に触れることを大切にしております。その一つとして英語の併記についても工夫してまいります。また、本年度より小学校3年から外国語活動が始まり、本区においては、1・2年生においても年10時間、英語に触れる機会を確保しております。このような状況も踏まえながら、幼児期から英語に触れる機会について研究してまいります。


コロナ禍における今後の経済支援について


最後に、コロナ禍においての経済支援についてです。緊急事態宣言が発令され、都民には外出自粛の要請が出され、飲食業は休業や時短営業要請が課せられました。もともと経営基盤が小さい飲食業は休業や時短要請の影響を受けやすく、地域からは疲弊する声が上がりました。本区の経済課は一早く、文京区独自の支援メニューで様々な事業に取り組まれ、区独自の補助金の給付には「文京区ありがたいよ」とか、「すごく丁寧に教えてくれた」という声が私の下にも沢山届いております。経済課のスピード感と、次々に打ち出すニーズに合った支援策、そして区民対応など大変評価いたします。ありがとうございます。


感染者の数は再び増加傾向にあり、見えないウィルスとの戦いは予断を許しません。我々の三密を回避した生活は全ての分野でその在り方を余儀なく変えました。資金繰り支援で何とか耐えている個人店や中小企業は、このまま感染拡大が長引けば、年末頃から廃業や倒産が増えると言われています。社会的困窮者も以前より困窮する度合いが強くなります。区は区内中小企業の支援を継続して行っておられますが、区民で離職された方に対しても、区内中小企業の支援と同様に手厚く支援すべきと思いますがいかがお考えでしょうか。


区長答弁:

新型コロナウィルス感染症の影響を受けて離職された区民を支援するため、求職者を派遣社員として区内中小企業へ派遣し、派遣先企業での正規雇用化を支援する「緊急就労支援事業」を来月から実施いたします。更に、来年度は、国や都の就労支援機関と、より緊密に連携していくとともに、ハローワークとの共催事業として実施している「ミニ就職面接会」の回数や、「緊急就労支援事業」の定員を拡充することで、区民の生活の安定と、社会参加の促進を図ってまいります。

また、コロナ禍により、求職者からの就労支援を求める声に加え、区内中小企業からも、人材確保に係る支援を求める声が寄せられていることなどから、本区においても、対策の強化を図る必要があると考えております。

そのため、「文京区総合就労支援事業」により、区内中小企業向けに、採用力を高めるための各種支援事業を実施するとともに、コロナ禍の影響を受けた離職者を含む、幅広い世代の求職者を対象に、就職活動の準備に係るセミナーを実施するほか、オンラインによるカウンセリングや企業訪問の機会を提供する等、就職に至るまでの総合的な支援を行ってまいります。

今後も、国や都の就労支援機関との連携を一層強化するとともに、早期の再就職に資する効果的な就労支援を実施してまいります。


災害に匹敵するほどのコロナ禍は区民を不安に陥れています。区は、また、様々な観点から区政を検証し、このような時だからこそ「文京区でよかった」と、区民に思ってもらえるよう今一度、区民の健康と命を守り抜く区政運営をお願いします。


質問を終える前に、コロナ禍で広まった気になる和製英語についてですが、「ソーシャルディスタンス」とか「ウィズコロナ」という言葉をよく聞きます。コロナ感染の拡大防止のために人と人との間に広めに距離を取るという意味で「ソーシャルディスタンス(正しくはソーシャルディスタンシング)」という言葉を使っていますが、距離を取るべきなのは物理的距離であり、人間同士が社会的に疎遠になることが求められているわけではありません。物理的には遠ざかっても、今この時、人類は社会的には互いに親密であるべきですから、「フィジカルディスタンス」と言いたいところです。そして「ウィズコロナ」、これもよく使われています。ウィルス蔓延の中で賢く生きていこうというニュアンスで使われているように思いますが、「ウィズコロナ」だと「コロナと一緒」と言う意味で、われわれとコロナの間にお仲間感が出てしまいます。相手はあくまでも克服すべき災禍であり、お友達になるべき対象ではありません。「アゲインストコロナ」と言いたいところです。コロナに立ち向かい、私も区と共に、区民の命と健康を最優先にこれからも働いてまいります。


以上を持ちまして質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

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